IT部門のみならず、経営陣にとっても事業部門にとっても、今、まさに必要なのは柔軟性や適応性、回復力、そして何よりも管理性に優れたIT基盤にほかならない。構成が複雑なあまりに、安定稼働のための手立てや今後を見据えた準備などにおいて、すべて後手に回ってしまう状況と決別しない限り、ライバルに打ち勝つ競争力は手にできないのである。
いかにして理想的な環境に近づけるか。ここで「オペレーションシステム(OS)こそが極めて重要な存在である」との観点で具体論を展開しているのが本資料だ。首尾一貫して、「OSは単一のサーバーやクラウドインスタンスといった枠組みを超えた全体的な運用環境を定義する手段」と捉えており、示唆に富む内容だ。
クラウドサービス全盛期において、OSなどの“中身”は隠蔽されてしかるべきといった声もあるが、構成要素の機能やポジションを深く理解してこそ、その時の状況に合ったテクノロジーの選択眼が養われることを再認識できる。メインフレームからクライアント/サーバー、そしてクラウドへと時代の変遷を辿りながら、OSが今、果たすべき役割を整理しており、知的好奇心をくすぐる読み物としても優れている。