近年、生成AIの進化はめざましく、随所で実装が計画・推進される段階にある。当然、ビジネスにおいてもAI活用への動きは活発となり、競争環境は根本から塗り替えられようとしている。一方で社会的な視点からも、AIが雇用や格差、民主主義、そして人々の日常生活に与える影響への関心と懸念は世界規模で高まり、UNESCO、EU、米国大統領令など相次いでAIガイドラインの策定に動き出している。AIはもはや一部のテック企業に限定される話ではなく、社会全体の秩序と信頼に関わる問題として、企業経営者が向き合うべき重要テーマとなっている。
しかし、AIへの期待の高まりに反し、企業経営の現場では深刻な問題も散見される。AIの具体的な活用構想も不明瞭な状態で導入だけが先行し、現場での運用ルールや責任の所在が曖昧なケースも後を絶たない。また“AIが下した判断に誰が責任を持つのか?”“学習データに偏りや差別が含まれていないか?”などといった問いに、明確に答えられる企業はまだ少数派といえる。加えて、AIを活用したサイバー攻撃の高度化や、環境負荷への社会的関心の高まり、各国での規制強化の動きなど、企業を取り巻く外部環境も急速に変化している。技術の進化があまりにも速く、経営判断や社内体制の整備が追いつかないまま、リスクだけが静かに蓄積されているのが、多くの企業の内情ではないだろうか。
本書『責任のあるAIの未来を共に築く』は、AIのリーディングカンパニーであるレノボとインテルが共同で提唱する「責任あるAI」について明確に解説する。多様性・包括性、プライバシー・セキュリティ、環境・社会的影響、説明責任・信頼性、説明可能性、透明性という6つの柱を軸に、全9ページにわたりAIプロジェクトの設計から運用までを体系的に展開する。各章では関連する調査データとともに、経営者・開発者・データサイエンティストがプロジェクト開始前に自問すべき具体的なチェックリストを提示。「AIガイドラインを実際に自社で整備している企業はわずか6%」といった厳しい現実を示しつつ“企業は何をすべきか”を実践的に提示している。理念や精神論にとどまらず、すぐに使えるアクションベースの貴重な内容展開となっており、AIに価値を見いだすビジネスパーソン必読の書として、本書を強く推奨する。
