クラウドの進化とマルチデバイス対応の広がりは企業の業務幅を広げ、従業員に多くの利便性を提供してきている。

 その一方で、情報漏洩などのリスクも高まっており、従業員IDをターゲットに攻撃する事案も急増している。管理者は情報資産を保守する使命感から、セキュリティ対策に奔走し、従業員IDを厳密に管理する必要に迫られている。近年は業務アプリケーションの多様化も考慮しながらセキュリティレベルの向上も実行せねばならず、一人の従業員であってもアプリケーションごとに複数IDを使い分けるケースも散見される。複数IDでの利用は大きく利便性を下げ、デバイスやロケーションにとらわれることなく業務を実行できるクラウドの利点を損ねていることになりかねない。

 本書はID管理と利便性の両立させる方策として、SSO(シングルサインオン)を推奨する。また、単にSSOを導入して一元管理する危うさについても言及され、安全性も担保しながら利便性を高める、より安全なSSO実装を解説する。日頃ID管理に悩む管理者だけでなく、現状のクラウドでの業務環境に不満を持つ多くのユーザーにもぜひご一読いただきたい内容となっている。