企業の成長に常に優れた意思決定が欠かせないのは、時代性を超越した不変の事実である。旧来の企業では経営者の判断によって事業が推進されてきた。しかし今日では、競合の台頭、市場要求の多様化、事業規模・マーケットの拡大など種々の変化によって、意思決定のスピードと的確さが求められる時代となっており、経営層だけでなく部門ごとなど、より細分化した意思決定も求められるのが、現代企業のありかたといえる。
このような背景により、スピードをともなった「優れた意思決定」には、データ活用が欠かせない存在となり、企業では「データ分析と活用=アナリティクス」を積極的に取り組んでいる。アナリティクスの領域は、製品開発、製品改善、ユーザー動向・管理など、およそすべての業務にまで拡大されてきた。
本書は、アナリティクスとオープンソースの融合について解説する。近年コスト面の優位性から採用されるオープンソース・アナリティクスや、R、Spark、Pythonなどの多種のコードベースが混在し、混沌とした状況下では、本来の目的である「優れた意思決定」も難しくなるケースが散見されるが、本書ではアナリティクスによって競争優位性を発揮する企業事例を紹介するとともに、オープン性を高めて資産を一元的に管理・活用する「アナリティクス・ガバナンス・プラットフォーム」を提唱する。アナリティクスの進化を知り、次ステージの企業のありかたを示唆する内容となっている。データサイエンティストだけでなく、経営層にも広くご一読をおすすめする。