システム需要の高まりとともに、同時に携わる人数や組織規模も、10年前とは比較にならないほどに、巨大かつ複雑化してきている。システムを保有する企業においては、開発・運用・ビジネスの各領域でのユーザーが存在しているが、各領域で所属組織の方針や活用・利用方法が異なるため、ややもすれば対立関係に陥ってしまいがちではないだろうか? 本来良好なサイクルを回すべき関係だが、いびつなサイクルを描きながら「なんとか回す」状況下で苦労して開発等を進めたというケースも散見される。

近年では混迷した状況を打破すべく、開発(Development)と運用(Operations)の協調を重視するDevOps(デブオプス)が提唱されている。しかしDevOpsはあくまで概念であり、実行される現場で仕事領域の線引によっては、一部の個人に負荷が集中されることや、「仕事の押し付け合い」など、実に本末転倒な事態も起きている。

本書は、レッドハット社でコンテナ技術を担当する筆者が、レッドハットフォーラム東京で「サービスメッシュからサーバーレスまで」と題し、OpenShiftと開発で体験した最新技術とDevOpsとの“今”を解説した際の講演資料である。「仕事領域の線引」の課題を、knative(サーバーレス)に代表される最新技術などで、「線引」の位置ではなく課題自体を解消させる実務に活かせるヒントが多く語られている。本文中にある「やらないこと探し」は、DevOpsを体現するスローガンともいえる。開発者はもとより、システムに携わる多くの方にご一読いただきたい内容となっている。