2017年の小売業販売額は前年比1.9%増の142兆5140億円、EC市場は同9.1%増の16兆5054億円(物販に限ると8兆6008億円で前年比7.5% 増)――。ここ数年、140兆円前後で増減を繰り返していた小売販売額は2017年に増加へ転じ、小売販売額に占めるEC化率も堅調に伸びている。ただ、今後もこうした状況が続くわけがないという見方がある。

少子高齢化、労働人口の減少、消費力の減退などによって日本の小売市場は縮小傾向に陥るとの予想がある。そして、IT技術の進化によってEC化率は上昇を続けるものの、全体的な“消費”はシュリンクすると見る業界関係者は少なくない。

消費のけん引役でもある生産労働人口が減少しつつもEC市場が拡大していくのであれば、小売市場全体でユーザーの奪い合いが始まる。つまり、既存事業者同士での競争が激化すると考えられる。

そんな環境下、海外マーケットへの進出、BtoC-EC企業によるプライベートブランド(PB)によるメーカー化、BtoB市場への参入などで、新たな収益源を確保し成長へつなげようとする動きが活発化している。

本書では、市場規模の推移、人口減少などの統計データを用いながら、販売チャネルの拡大、新マーケット挑戦の課題を考察し、EC企業やメーカー、小売企業、卸企業などがビジネスを広げるための方策に関するヒントを提供する。