インターネットの普及やスマートフォンの浸透は、店舗や対面以外の販売チャネルの増加をもたらした。スマートフォンでモノを買ったり、サービスを享受するということは日常化している。このような変化は、これまでのマーケティング手法にも変革をもたらした。サイト内外での閲覧履歴や購入履歴などに基づくデータマーケティングが主流となっている状況だ。

しかしデータを重視するということを、設定されたKPI等の達成と同義と捉えてしまうケースも散見される。ここには本来向き合うべきであるはずの顧客は不在で、数字の達成それ自体が目的化されてしまうこともしばしばである。しかし、製品やサービスに興味をもって接触してきた顧客は「数字」ではなく、嗜好と感情をもった「人」であることを忘れてはならない。顧客「一人ひとり」に企業が向き合う施策が今求められており、良好な関係を構築するためにもCX(顧客体験)の強化を経営課題として取り組む企業が目下増加中である。

本書は、CXプラットフォーム「KARTE」についての特徴と、「顧客を知る」「一人ひとりに合わせる」に則った機能、導入事例を紹介しており、企業が「顧客目線」を実践する際の具体的なポイントの理解を深めることができる。さらに自動車販売(ディーラー)と生命保険という異なる業種業界における2件の導入事例によって、すべての企業に通じるCXの重要性を伺い知ることができる内容となっている。顧客接点が多様化する今、顧客の期待を超える体験を提供し、顧客から選ばれるサービスの展開を目指す多くの企業人に広くご一読をおすすめする。