地球温暖化対策への取り組みは、今や世界規模での課題となっている。日本政府は、「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」を2019年6月11日に閣議決定し、2050年までに80%の温室効果ガスの削減、今世紀後半のできるだけ早期に温室効果ガスゼロ(脱炭素社会)を実現するという、野心的な取り組みを発表している。

国内の再エネの導入状況は、FIT(固定価格買取制度)が太陽光発電の普及促進に一定の成果を上げているが、この11月1日から買取期間満了(卒FIT)が順次始まり、再エネコストの変動とともに、今後の電力市場の行く末に注目が高まっている。

本書は、再エネの主力電源化を目指した、日本のエネルギー政策「第5次エネルギー基本計画」(2018年7月閣議決定)とともに、VPP(Virtual Power Plant、仮想発電所)構築実証事業について整理している。VPPは、需要側にある分散されたエネルギーリソース(蓄電池やEV、発電設備等)をIoT技術で遠隔から統合制御し、あたかも1つの発電所のように機能させる技術であるが、本書では関西VPPプロジェクトのEVとの連携や、VPPを調整力としたマネタイズモデルについても解説している。

卒FITを迎え、市場の変化やビジネスモデルに大きな変革が始まる。今こそ、本書をご一読いただき、動向の把握と整理をおすすめしたい。