どんな業種業界でもビジネスの源はコミュニケーションにあるといえる。一般的には販売やブランディングなど外向きなイメージに受け止めがちではあるが、例えば一見「コミュニケーション」という言葉からは連想されない製造部門においても、商品を作るうえでは指示や情報などの「コミュニケーション」が重要である。企業内外では様々な情報が飛び交うが、充分な共有と相手からの理解が得られなければ、コミュニケーションは成り立たず業務は成立しないだろう。

近年、重要視される顧客体験は、より深く、より広く、情報を魅力的に消費者に伝え賛同を得る外向きのコミュニケーションの発展といえるだろう。デジタルテクノロジーの発展と普及により、消費者は高いリテラシーがなくてもリッチな情報と体験を享受することができる。コンテンツのリッチ化においては、通信インフラの進化と相まって動画の活用は欠かせない。現在では普及が期待される5G通信のみならず、Wi-Fi6(IEEE 802.11ax)は最大通信速度9.6Gbpsを誇っている。現在コミュニケーションの主役は文字や静止画だが、技術の進化により、動画主体の体験が主流になっていくことが予測される。現在は一部の大企業だけが有すノウハウと高コストで制作される動画でのプロモーションではあるが、 動画が一般的に活用される時代を前にして、検討や制作のハードルが下がる時期に来ているのではないだろうか?  

本書は、AIに基づく動画編集技術を紹介する。2020年の世界的な新型コロナ拡散で負った活動制限は日常業務にも大きな課題を呈した。出社を前提とした体制は崩れ、訪問を前提とした社外活動も客先の対応状況が加味されるので複雑さが増してきている。また新入社員のOJTや対面での説明を要する紙資料やマニュアルにも限界がある。まさに情報だけが孤立し、コミュニケーションが成立しない事態といえる。本書はこれらの課題においても動画活用に最適解を見出している。しかし、動画制作には障壁も多く、社内での動画編集であっても「コスト」「時間」「スキル」が立ちはだかる。そこで本書では、AIによる自動動画編集から専門知識を要さず、低コストに、社外向きでも社内向きでも、ビジネスにおける動画編集の解決策を提言する。まだまだ先行きの不透明感が漂う世情ではあるが、テクノロジーの進化とコミュニケーション手法は不可逆的に進み、数多く手がけることでナレッジは蓄積される。本書をご一読いただき、広域な動画活用にチャレンジしてみてはいかがだろうか。