今日、ITシステムは企業にとってビジネスの基盤であり、体を成す骨格ともいえる存在だ。企業事情によって差違はあるが、さまざまな機器と通信によって構成される集合体でもある。正常に機能することはもとより、外部からの攻撃に耐え、昨今のテレワーク対応などで増える負荷への遅延にも対応を要する。

安定性、堅牢性に加え、企業成長に欠かせない使い勝手や生産性の向上を目指し、改善と機器のリプレースなどに多くの企業は余念がない。実現にあたってはSIer・SEが日夜奔走しているが、改善・構築の現場は常に時間(納期)に追われ、しわ寄せは主に下流工程にかかる。特にテスト・デバッグ工程は熟練を要し、時間的制約を受けるなか人力での骨身を削る努力で成り立つケースが常態化しているのではないだろうか? 賢明な読者諸氏においてはご承知の通り、下流に潜む莫大なリスク回避にテスト・デバッグが有効なのは明白である。しかし評価コストに該当するテスト・デバッグには人的稼働時間・工数も含めてあまり考慮されない現実もあり、クオリティの担保、コスト、働き方についても抜本的な改革が必要ではないだろうか?

本書は、ファイアウォール・ネットワークテストの自動化製品について解説する。テスト工程における改革は一筋縄ではいかず、あってはならないが長時間の手作業による人的ミス、本番環境と同等のテスト機材の調達、時間短縮を目的とした項目限定した実施など障壁は高い。同製品は、ポリシーテスト機能、ネットワークテスト機能、負荷テスト機能(スループットテスト、セッションテスト)の自動化を実現している。さらに、仮想端末を生成することができ、機材調達の手間と費用が削減できる。テストの現場でありがちなエビデンスの取り忘れミスも自動保存を有するので、つまらない時間の浪費予防に貢献する。評価コストの視点では、手動テストと比較し約80%ものコストを圧縮した導入事例もあり、仮に手動でのテスト漏れが発覚して外部不良コストが発生した場合を考慮すると費用対効果は計り知れない。システムの刷新はもとより、ファイアウォールのリプレースなど頻度に関わらず、テストに威力を発揮する。ITシステムに関わるSIer・SE、企業組織においても、あらゆる方向で課題解消に向かうのではないだろうか? 本書をご一読のうえ詳細をぜひご確認いただきたい。