すべてのものごとにおいて計画は重要だ。企業としてビジネスを展開する上では、計画なしではなにごとも成立しえない。ビジネスを実行するために、分類された業務に最適な人員や資材をアサインすることで事業は成立する。
総務や営業などでセグメントされてはいるものの、企業で展開される業務のすべては、事業計画に基づくプロジェクトであるといえる。ブレークダウンされた業務にはさらに細分化されたプロジェクトがあり、プロジェクトごとに目標や計画が立てられるのが現代のビジネス形態ではないだろうか? ビジネスパーソンは日々多くのプロジェクトに携わっているが、さまざまな要因が複雑に絡み合うがゆえに、緻密さなどに違いはあれども計画通りにプロジェクトを遂行させるのは非常に困難だ。一昔前であれば、ベテラン社員がプロジェクトの運行と管理にあたり、何とかプロジェクトを成功に導いてきた。しかし、属人的な経験と勘に頼る要素が強く、生産性、企業成長を促すナレッジの観点からも価値は低いといえる。そのため米国の国家プロジェクトに端を発し、プロジェクトを体系的に管理するプロジェクトマネジメントの思想が生まれた。ソフトウェア開発の現場を中心に発展を遂げ、今日では広い分野で活用も進むが、プロジェクトを成功させる本来の目的に達していないケースも散見される。プロジェクトは各所でつまづき、管理が最適に運用されない要因はどこにあるのだろうか?
本書は、プロジェクト管理の課題を指摘するとともに解消への最適化を提言する。プロジェクトを進めるにあたり、何らかのツールを用いた管理は必要となる。管理には進捗と変更の共有が重要な位置を占め、プロジェクトの現在地を示す役割を担う。そして現在地を見失うケースが続出する一因は、開発手法のトレンド変化にあると本書は指摘する。現在の主流である「アジャイル開発」は、チーム内での頻繁なコミュニケーションを核に小単位での機能リリースの反復を成立させるが、リモートワークの環境下におけるレガシーな管理ツールの使用ではコミュニケーションは充足することなく、事態を悪化させている。そこで解決策としてアジャイル開発手法から導き出されたプロジェクト管理に特化したツールでの環境整備を推奨する。プロジェクトに円滑を欠き、属人的努力でなんとかかたちにこぎ着けた経験はないだろうか? メンバーが疲弊し、時代に逆行するプロジェクト管理に未来はいい。有用なツールを選択すれば、プロジェクト運行は一変する。本書をご一読いただき、今一度ご自身のプロジェクトを見直してはいかがだろうか。