いかなる企業においても、IT活用と開発リリース速度は、競争力の源泉となってきている。企業の開発能力は開発者に左右される領域も多く、開発者のスキルが企業力といっても差し支えないほどに強い影響力を持つ。

 

企業経営における競争力の維持向上の重要性から、開発の速度も上げる必要がある。開発者にはより開発に専念できる環境と、スキルを向上させる学習支援も必要となる。しかしサーバーインフラ構築にかかる工数やメンテナンスなども必要とされ、人的リソースや労力を割くことはビジネスに直接的な利益を産まないだけでなく、開発スピード自体を阻害する要因ともなっている。報道されるとおり、クラウド活用は確実に成長期に突入しており、2020年の国内パブリッククラウドサービス市場規模は前年比19.5%増の1兆654億円と成長し、2025年の市場規模は2.4倍の2兆5866億円になるとも予測されている。多くの企業がクラウドへシフトしていくなか、特にサーバーレスの開発にはビジネスメリットが多く、何より開発者が開発に専念することができる。今後、標準技術となっていくことが予見されることから、積極的に知識取得に取り組む開発者諸氏も多いことかと思われるが、実践のほどはいかがだろうか?

 

本書は、「サーバーレスの開発方法を聞いてみた」と題し、サーバーレスの有識者であるAWSの今村優太氏に対談形式で開発の具体的な手法や勘所を尋ねる。同氏は「プロトタイピングスペシャリスト ソリューションアーキテクト」として、顧客のデモ開発を業務にし、サーバーレスベースのAPIなどのサンプルを作っており、サーバーレス開発の最前線を走っている人物だ。本書では開発過程やAWS Lambdaについて適切な資料へのリンクとともに、同氏の現場で培われた開発の勘所についても深く展開されている。また「開発者にとってのエディタは料理人にとっての包丁のようなもの」と同氏が表現するエディタの機種や使い方などにも具体的に言及している。一般的に他の開発者の手法を知る機会は少なく、サーバーレスともなれば実践にあたり疑問も多く湧いてくることだろう。そのため知識レベルが高くても実践に躊躇する読者もおられると思われる。本書内で「習うより慣れろ」と指摘されるとおり、サーバーレスの疑問に応え、開発者の実践へのあと一歩を力強く押してくれる内容となっているので、スキル向上を目指す開発者諸氏はもとより、企業力を高めたいIT部門メンバーにもぜひご一読をおすすめする。


私は、Amazon Web Service(AWS)からAWSの最新のニュースやサービス等に関する情報を、メール、郵便または電話で受領するためにthird partyが私の連絡先情報をAWSに提供することに同意します。 AWSの最新のニュースやサービス等に関する情報の配信は、配信される情報に含まれる案内に従い、いつでも停止いただくことができます。AWSはお客様の情報をAWS Privacy Noticeに従い取り扱います。