デジタルトランスフォーメーション(DX)の活発化に伴い、デジタル技術やデータを他社との差異化にどう活用するかが市場での競争優位を確立するうえでのカギとなりつつある。そんな状況の中で注目を集め始めているのが、インターネット上の仮想空間「メタバース」だ。メタバースは、単一の仮想空間を指す固有名詞ではなく、新時代の技術を用いて構築された仮想空間を指す言葉(普通名詞)だ。ゲームに特化したメタバースもあれば、ユーザー間のコミュニケーションに特化したものもある。

 

メタバースが従来型の仮想空間と異なる点は、Web3.0時代の新技術との親和性が高いところだ。ブロックチェーン技術に基づく暗号資産(仮想通貨)やNFT(非代替性トークン)などにより、デジタルコンテンツをより安全・確実にやり取りすることができ、実世界と同様の経済圏を形成することが可能だ。

 

では、メタバースをどのようにビジネスに活用するのか。人気ゲームタイトルにおける企業コラボなどは典型例だが、バーチャル店舗における売上拡大やユーザーコミュニティ運営を通じたロイヤルティ向上など、目的と手段は多岐にわたる。世界観を重視して独自のメタバースを構築するのか、既存のメタバース・プラットフォームに参加するのかという問題もある。ユーザーが拡大を続けるメタバースは、新しいコミュニケーションチャネルとして魅力的だが、一般企業が手を出すには企画・構築・運営のすべての面において、課題が山積している状態だ。

 

本冊子では、メタバースの市場動向を解説するとともに、ビジネス活用における課題を整理し、現実解について考察する。メタバースに関心を寄せるビジネスパーソンはぜひご一読いただきたい。