現代のあらゆるビジネスは、ITの介在なくして成立は難しいだろう。一昔前であればIT企業と称されるのは一部の業種を指し示していたが、現在では企業内の利活用の観点から、世の中は「総IT企業化」と捉える意見も存在する。

 

方向性は様々であるが企業内にITが介在する以上、なんらかのエンジニアリングが必要となってくる。業務にあたる人員を世間一般ではITエンジニアとかなり大枠で分類するが、読者諸氏もご存知のように、ネットワークエンジニアやアプリケーションエンジニアなど、業務内容によって役割も求められるスキルも大きく異なってくる。ITエンジニアリングはスペシャリストによる分業の文化濃度が高く、テクノロジーの進化とともに迅速さや高度化に貢献している。しかしその反面エラーやトラブルによる有事の際には要因が掴みづらく対処も後手に回りがちでもある。また専門に特化したスペシャリストで構成されるプロジェクトであっても、各分野の違いから生じる様々な齟齬が下流行程に行くにしたがって肥大化することもある。ひとたびエンドユーザーの手元でエンジニアリングに起因するトラブルが生じれば、改修作業は困難を極めるばかりでなく、ビジネス的なダメージも避けられないだろう。より良いITエンジニアリングを実現するカギはどこにあるのだろうか?

 

本書は、「ネットワークの勉強方法を聞いてみた」と題し、ネットワークを学ぶ意義や学習の参考になる情報を紹介する。アマゾンウェブサービス(AWS)のネットワークスペシャリストが自身の経験を交え、具体的な書籍からAWSが提供する資料についても紹介している。前出の通り、誰しもが望まない改修作業に終始することは、しばしば起こりえる事態である。プロジェクトマネジメントの発展と活性化によって回避されてきた側面もあるが、運用場面を含めれば何事も起こらないケースの方が少ないのではなかろうか。本書では、ITである以上は、すべてはネットワークに帰属することを力説し、いかなる役割やスペシャリストであってもネットワークの知識を得ることを推奨する。またネットワークは変化少ない「枯れた技術」と捉える向きもあるが、IPv6の改訂に示されるとおりネットワークも進化していると学習姿勢を指南するとともに、ネットワークと切り分けて初動にあたるケースの多い有事のトラブルシューティングにおいても、ネットワークの知識が有効性を発揮し、早期の解消に結びつくと指摘する。たとえアプリケーションエンジニアであってもネットワークの知識の有無で、プロジェクト全体の円滑さのみならずエンドユーザーの使い勝手にも差が出てくるといえよう。各スペシャリストがさらなる高みを目指すためにもネットワークを学ぶ意義は大きい。エンジニアに限らずITに携わるすべての人に対し、本書のご一読をおすすめするともに、本書を契機としてネットワークの学習に取り組んでみてはいかがだろうか。
 


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