ビジネスは常にマッチングによって成立してきた。自社の商品やサービスを求むユーザーに提供することで正当な循環が生み出される。しかし現在では、自社の提供する商材をひたむきに磨きつづけクオリティを高めてさえいれば、おのずとユーザーが気づき、ついてくるというビジネス思想はもはや昔話となっている。

 

今日でもクオリティを高め独自性を生み出す企業努力は欠かせないが、情報化社会の成熟によってユーザーに価値を提供するための行為であるマーケティング活動の重要度は増してきている。代表的な広告はテレビCM等を頂点に、「より広く多く」を常套句としてきたが、時代の変化からこちらも同様に過去のものとなってきている。今日の広告に求められるセオリーはいかに適切なユーザーに適切に情報を伝えるかにあり、必ずしも投入数や投資金額の増加で結果が得られるほど容易ではない。その代表格が成長著しい動画広告といえるだろう。

 

本書は、企業のマーケ-ティング動画活用の困難さと成果に繋がるポイントについて解説する。一言で動画広告とカテゴライズされるが、YouTubeやTikTokのような動画主体のメディア以外にもインストリーム、インフィード、インバナー広告でも、ユーザーにコンテンツを届けるべく動画独自の多様な仕組みが用意され、常に進化している。規定サイズなどが使い回せた静止画バナーなどとは大きく性質が異なり、掲載先・掲載場所も無尽蔵な広がりをみせている。あたかも大海に釣り糸を垂れるがごとし、いかに高価な道具や良質なエサを投入しても釣果は約束されるわけではなく、同様にマーケティング動画活用も一朝一夕には成果を出しにくい構造にあるのかと思われる。本書は、動画広告の現状と課題を顕在化させ、400社以上の導入実績から企業のマーケティング動画で陥りがちな5つのポイントを指摘するとともに、成果を出す企業に共通する3つのポイントを開示する。効果に不満を抱きつつ動画広告を実施中の企業はもとより、効果が出ないために撤退してしまった企業、これからチャレンジしたい企業も本書をご一読いただき、ビジネス成長に貢献するマーケティング動画活用推進に役立てていただきたい。