現代のビジネスとデジタルテクノロジーの進歩は、密接に関係してきた。一般へのデジタル浸透と普及によって、顧客サービスや社外に向けたプロセスも徐々にデジタルへと転換され、デジタルならではの新たな価値も創造されている。早期に取り組んだ企業は、先行者メリット以上の企業的価値を享受し、成功体験からデジタルを礎とする先進企業のポジションを築いている。

 

いつの時代もビジネスの潮流は多く広い方へと流れる傾向がある。昨今提唱されるデジタルシフトも、充分に多く広く浸透したデジタルテクノロジーを受けてのことといえる。あまたの企業がデジタルシフトへの適応に向けた計画を立てるが、やはり先進企業と目される組織はデジタルシフトにも迅速性をもって取り組んでいる。世界的に拡散した新型コロナウイルスは人々の生活に制限と変化を要し、在宅勤務に向けた環境整備に奔走する事態となった。在宅勤務はデジタルの介在なくしては成立せず、急激な変化に長期的な計画だけでは対応は難しい。また、在宅勤務者が増えることは顧客もデジタル中心に変化していることをも意味している。

 

本書は、市場調査分析に基づき今日のビジネスの最適解を提言する。業務として企業内で動かすビジネスも、企業が顧客に向けて外に展開するビジネスも大きく変化した。本書の調査データを一部抜粋すれば、顧客の80%が期待どおりのカスタマーサービスを受けられなかった場合は別の企業に乗り換えると回答しており、企業に対する高い期待と厳格な顧客心理の傾向を象徴している。以前からカスタマーエクスペリエンス(CX)を重視してきた先進企業はデジタルチャネルに強みを発揮し、在宅勤務への対応にも一日の長がある。競争力でも運営力でも格差は拡がりつつある。本書では、格差を埋めるべくカスタマーサービスの課題解決に向けた8つのベストプラクティスを具体的に示している。多く広くさらに激しく時代はデジタルシフトに傾く今日、本書のご一読を強くおすすめする。