日々の業務はネットワークに支えらているといっても過言ではないほど、インターネットインフラは日常に欠かせない存在となった。しかし通信の遅延や障害が全く発生しない、ということはない。誰しも一度は事態に直面し不満を感じたという経験をお持ちではないだろうか。
インターネットの接続品質の向上は、安定した業務運営に直結する問題でもある。インターネットは、一般的にインターネットサービスプロバイダ(ISP)を介して利用することになるが、ISPから先のネットワークがどのようなトラフィック構造になっているのかまで把握されているだろうか。途切れることがなく、またトラブル時の冗長性も確保されている、といったネットワーク接続の品質は、あらゆる面でビジネスの進展を左右しかねない重大なファクターとなっているのだ。働き方やトラフィック量の変化を受けて、今ネットワークの把握と再検討が急務となっている。
ISPではピアリングやインターネットエクスチェンジなど、様々な方法を用いることで複数のTierと呼ばれるネットワーク層の安定的な接続を実現している。ネットワークを利用する側が留意しておきたい事はというと、ネットワーク接続における自律システム(Autonomous System)の規模やトラフィック傾向、DDoS攻撃への対策や障害発生時の復旧手段を考慮したうえで自社の事業環境に応じた最適なサービスを検討する必要があるという点などにある。本書では、こうしたネットワーク接続の仕組みとコスト発生のタイミング、高品質な通信を得るためのポイントが図解とともに説明されている。あらゆる場面で止まらないことが求められる現代の通信環境整備に向けて、あらためてネットワークそれ自体に目を向けられてみてはいかがだろうか。