ECサイトにしろ、情報提供を目的としたメディア系サイトにしろ、デジタル領域でサービスを展開する組織体にとって、ユーザーをどう識別するかは、コア中のコア業務と言ってよい。商品をストレスなく注文してもらう、あるいは前回訪問時の手続きをスムーズに再開してもらう等、顧客一人一人に最適化した体験・サービスの裏側では、なにかしらのかたちでユーザー識別のためのシステムが稼働している。

 

こうしたユーザー識別の行程は「アイデンティティ管理」と呼ばれ、近年ますます重要性が高まっている。だが、実際のシステムをどう構築・運用するかは、IT担当者にとって悩みの種だ。コスト面はもちろん、システムを更新したくても社内ポリシー制限に引っかかってしまったり、システムが古すぎてデータを効率的にハンドリングできなかったり、組織によってそれぞれ事情が異なる点が、問題をなお難しくしている。

 

そんなアイデンティティ管理の実情を解説しているのが本書だ。実装のしやすさとカスタマイズ性の2軸をベースに、どんなソリューションが存在するのか、そのメリットとデメリットをわかりやすくまとめている。ゼロからコーディングするのか、はたまた「IDaaS」(サービスとしてのアイデンティティ管理)でアウトソーシングするのか。組織の規模や事情に合わせた、最適な選択のためのヒントとして是非ご活用いただきたい。