AIのみならずロボティック・プロセス・オートメーション (RPA)についても、ひんぱんにメディアで採り上げられている。生活や仕事の利便性の向上を“謳う”情報が大半を占める反面、「仕事をAIに奪われる」といったようにテクノロジーの進化と人間の関係性を危惧する議論も同時にわき起こっている。
しかし、AIの登場が特別なわけでもなく「テクノロジー」と「働き方」の進化は、今日始まった事象ではないと断言できる。実体験の有無は世代で異なるが、「黒電話とFAX」のみで仕事をしていた時代と、今日のオフィス環境と比較していただければ大きく様変わりしていることがわかるだろう。テクノロジーの進化は常に起きており、以前よりビジネス領域では「働き方」とバランスをとってきた歴史があるといえる。
本書は、職場における人間とオートメーション・テクノロジーのパフォーマンス力学について、実施された企業調査をレポートする。調査対象は世界4カ国(米国、インド、日本、英国)の大企業の経営層約400名とする。調査は主テーマを「AIやRPAなどのオートメーション・テクノロジーによるオーグメンテーション(拡張技術)は、企業の業績だけでなく人間の生活にどのような影響をおよぼすのか?」として実施された。業種ごとの分析や国ごとの傾向など、多岐にわたった分析がなされている。独立系の学術研究チームが調査にあたり、信頼性の高い貴重な資料といえる。賛否入り交じった未来予測が飛び交うなか、「黒電話とFAX」の仕事スタイルに戻ることのない“今日”のビジネスを生きるすべての人々に、ぜひともご一読いただきたい内容となっている。