テクノロジーとビジネスの結びつきは、時代変化とともにより一層緊密さを増しており、業種業界問わずビジネスパーソンの誰もがその重要性を認識していることだろう。特に近年では、コロナ禍を契機に導入されたテレワークも、ICTによって成立している。

 

オフィスワーカーの働き方も出社と在宅のハイブリッドワークが主流となりつつあり、デジタル化の浸透度合が業務効率・生産性への関わりを深めている。また同時に、従来の業務プロセス自体の非効率さもより鮮明になってきているように思われる。そもそもコロナ禍以前より、企業のデジタル化を推奨するDXが各所で提唱されてきた。DXの主幹が“情報の高度活用進化”であることは理解されるものの、いざ実行となると広範囲でふわっとしている印象ではないだろうか。紙書類の電子化、ツールやサービスの導入、クラウドを筆頭とするITインフラの高度化など、企業ごとに方向性も取り組みの熱量も実に千姿万態であったといえる。ある意味、おざなりな取り組みや微細な進化であっても業務は進み、企業の競争力は維持できた時代だったといえる。

 

しかしコロナ禍を境に半強制的に変革が一気に進み、企業のデジタル化の基準値も底上げされている。今日、明確な指針も持たずDXブーム時のままにテクノロジーと対峙するのは遅緩であり、危険でもある。今や確かな成果に結びつく未来志向の取り組みへとシフトすべき時期に来ているといえよう。本書は「自動化プラットフォームサミット」イベントの3セッションを取り上げ、成果を念頭にAPIやiPaaS、RPAといった自動化を取り巻くテクノロジーを整理し、如何に連携させるべきかを探求する。DXが漸進性を帯びない理由は時間軸の概念が希薄だったように思われる。本書では過去のテクノロジー進化に基づき、2030年を見据えて2020年代に“企業がやるべきこと”を掲げ、自動化の今後の展望からテクノロジーと人材育成と両面で歩むべき5のステップをなどを提示する。本書全域に渡り、時間軸を伴った目的と方向性が具体的に示され、書末で展開される3氏討論も含め、多くの企業人が一読すべき内容となっている。