企業が追い求めるものは、「利益」だけではなくなってきており、透明性、継続性、法令遵守、社会貢献性、生産性などと、多岐にわたっている。社外・社内ともに企業経営には、「追い求める」に加えて「果たすべき」項目が絡み、多様化・複雑化しているのが現状ではないだろうか?

いずれにせよ、多くの課題に対処し解決していくのが、健全な企業の姿勢である。そして多くの企業は、的確な経営判断と課題解決にITツール導入に活路を見いだしている。その中でも業務プロセス改革の一手として、今最も注目を集めるのがRPA(Robotic Process Automation)だ。数年前から提唱されているが、用語としても定着し、ここ1年くらいで国内の導入企業数が急増している。

本書は、先駆的なRPA導入企業による蓄積で見えてきた「RPAのポテンシャルを最大化する視点」について解説する。RPA導入企業数も急増し、巷に情報があふれる昨今であり、「そろそろウチも導入するか?」と考える読者も多いことだろう。しかし、「RPAさえ導入すれば自動化が進み、従業員の時間も開放されて、生産性も上がる!」と捉えるのは、いささか安直過ぎると言わざるを得ない。RPAを導入し、継続的に投資も行っているにもかかわらず“実利”が伴っていない企業が実は多い。RPAに問題があるのではなく、足りないのは活用させる“ある視点”の欠落と“導入運用方針”に多くの要因があると本書は指摘する。RPA導入を検討する企業のみならず、既にRPAを導入している企業も、本書をご一読いただき、RPAの本質を捉えつつ、その能力を最大活用してみてはいかがだろうか。