ビジネスを取り巻く潮流は激しく、想像もしえない事柄が起こり、既存の手法から大きくはずれたサービスが新たな市場を築いているケースもある。ともすれば“流れ”と言う概念そのものが通じない時代に突入しているのかもしれない。

その昔であれば「良い製品」や「良いサービス」を市場に投入することで、企業成長はほぼ達成できていた。しかし現在はユーザーの嗜好が多様性に富んでおり、広く通用する「良い」と言う確固たる価値は存在しない。下手をすると企業側の独りよがりな「良い」を市場に投下し、悲劇的な結果を招いてしまうという事態すらありえる。ステレオタイプな思考は早々に捨て去るべきだ。では求められる「良い」とは何であろうか? 都度顧客に問うて個性を深く理解し、すべては顧客主軸で進めるべきだが、プロセスの煩雑さと提供側のマンパワーには限界がある。そこで今進めるべきはデータの統合と分析・理解を礎としたCXの実践ではないだろうか。

本書はCXの重要性を説くとともに、CXをダイナミックに実践する2社の好事例を紹介する。読者諸氏もご存知の通り、用語としてのCXはビジネスパーソンに広く認知されている。しかしCXの実践や際だった成功事例は、認知と比較してまだまだ少ないと言わざるをえない。単なる「ビジネス用語」として一人歩きしてしまっているのか、内容核心まで認知理解が進んでいないのか、実に心許ない。本書は「5分で読める」と題するだけに冗長さを省いたボリュームで、CXの重要性と実践法の理解が深まる内容となっている。CX実践中の企業においても自社CXのコンセプト再チェック基準としても活用できるので、ぜひご一読されたい。