グローバル化はすでに、仕事だけでなく生活にも波及している。かつては貿易業や国際交通業のイメージが強かったが、小規模な製造販売企業の越境ECでさえも特別なことではなくなってきている。そしてビジネスにおける外国語業務の需要は高まり、重要性はどんどん拡大している。

日本語を常用言語とする我々には、常に外国語の壁が立ちはだかる。日本語を常用するのは日本国にほぼ限定され、世界的に見れば中国語や英語と比べるとかなり少ない話者人口であり、外国語業務には常に翻訳が欠かせない。現在は人も物も往来がさかんになったが、世界規模での新型コロナウイルス拡散以降は特に人の往来は大幅に制限されてしまっている。不可逆的進化を遂げたグローバル化はビジネスに深く根を張り、止めることはビジネスの停滞も意味しており、コミュニケーション手段が制限されるなかで、より精緻で多量の情報と質の高い翻訳が求められる。幸いメールやWebミーティングなどのデジタルテクノロジーの進化が、大きな助けとなっていて、情報発信と情報取得は担保された状況下といえるが、世情を鑑みれば難しい経営判断を迫られる局面も多くなっており、判断や交渉に臨むためにも質に加えスピード感も有する翻訳が重要になってきている。

本書は、外国語業務におけるニューノーマルな業務改革を提言する。新型コロナ拡散以降、かつての状態に戻らないことを大意とし、新たなあり方の模索を推奨する。本書は人と生産性を改善するデジタルトランスフォーメーション(DX)推進においても難度が高いとされる翻訳業務にメスを入れる。取り巻く実情を踏まえ、ニューノーマル時代におけるAI翻訳利用を11の活用例とともに提言する。機械翻訳は重要なビジネスシーンでは使えないイメージを持たれている読者もおられると思うが、AIによって質もスピードも進化した今日の姿を本書よりぜひご確認いただきたい。新しい常識と状態はすでに生まれてきている。外国語業務ご担当者のみならず、グローバル業務の維持継続とニューノーマルを摸索する経営層にもご一読をおすすめできる内容となっている。