ビジネスを展開する上での情報発信は必須だ。サービスや製品がいかに優れていようとも、toB・toC問わず購入対象に知られないことにはビジネスは始まらず、利益としての還元も生じない。まず「知られる」ことが、企業であれば事業の維持継続と成長が追求すべき本分である。
対象に知られるというビジネス需要から広告の文化と手法は発展してきた。従来はマス広告が主流であり、テレビCMに代表されるように手法は“広く多くの人に告げる”ことに重きを置いていた。確かに頻繁な露出による視聴者への刷り込み効果、マス媒体に掲載されることの安心感は得られるだろう。しかし、広く!多く!への過大追求は、誰にでも見せる!知らせる!功罪を生じさせ、ビジネスの根幹である購入対象へのリーチを蔑ろにしている側面がある。効果測定の視聴率は、視聴者属性も大枠でしかなく、購入や問い合わせのコンバージョンではない。一方で近年発展してきたWeb媒体に登場したリスティング広告は、ユーザーの検索動作を軸に検索結果や視聴メディアを介した誘導に重きを置く。ユーザーの自発動作が発端となるゆえに、紐付いた興味や需要欲求に対して応えることができ、見せる広告から応える広告へのゲームチェンジが果たされたともいえる。応えに広告主を位置づけ、年齢・地域・性別の投入設定から多種多様な軸で緻密に行える効果測定のみならず、購入や問い合わせに至るコンバージョンまで追うことが可能だ。また、広告主自身で開始。運用をはじめられる手軽さも魅力ではあるが、費用対効果を求めるにはキーワードの選定から緻密な設定など知識と経験が必須となってくる。対象ユーザー特性や業界特性を加味した日々の運用も加わるので、人的・予算的な投資は膨らむだろう。やはり餅は餅屋であり、リスティング広告運用を代理店に求めるのが賢明ではないだろうか?
本書は、リスティング広告代理店を選定する際の留意点を解説する。リスティング広告代理店に単に委託すれば高コンバージョンと高費用対効果が得られるわけではない。飲食店がすべての人を満足させられることはなく、店の得手不得手の課題とマッチングの難しさが介在するのと同様であろう。リスティング広告代理店と広告主との間にも同様の難しさが介在し、企業や組織の貴重な予算を投入するだけでなく、誤った広告展開は製品や企業イメージをも失墜させる可能性もある。ランチの店選びの失敗は多々あることだが、リスティング広告代理店選びの失敗は企業生命すらも脅かしかねない重要項目だ。本書では「失敗しない!リスティング広告代理店の選定ポイント」を5つの角度から具体的なシチュエーションを踏まえてわかりやすく解説・展開する。自社運用されている読者は必読いただきたく、代理店を利用している読者にも、餅屋の餅は自社にとって本当に美味いか?と自問する契機としてもご活用いただける内容となっている。