企業活動には経営資源が必要だ。ヒト、モノ、カネに情報が加わった4つの要素がなくして現代のビジネスはなり立たない。情報はデータとして価値を持ち、ビジネスにおけるデータ活用が企業の命運を分かつ時代といえる。

 

データ活用が企業競争力と同義となる事例が特別ではなくなった昨今の潮流から、多くの企業がデータを有効に運営・保守に努力を惜しまない状況にある。クラウドに代表されるのようにコストと効率の両立を目指す動きも活性化するのも必然といえるだろう。またデータとビジネスの親密さが高まるほどシステム停止はあってはならず、もし止まれば企業の呼吸停止を意味し、一度発生すればカネを失うだけでなく金銭では計れない信頼すらも失いかねない。システム障害はもとより、わが国は自然災害も多い地域特性をもつのでBC/DR(災害復旧と事業継続)は効率以前に、より慎重を期すべき項目だ。冗長化構成を採り、レプリケーションには自動スイッチオーバーを配するなどの施策も在ってしかりであるが、システム設計において実現可能なRPO(目標復旧時点)とRTO(目標復旧時間)の設定を見極めるのは困難を極める。

 

本書は、企業の命題である事業継続における課題に対し、ActiveClusterの有効性を提言するとともに根拠となる技術を解説する。システムにミッションクリティカルを求める企業は多いが、いかに思索をめぐらせようともRPOとRTOの予測域での時間が短縮されるにとどまり、結局はRPOとRTO課題の呪縛から解放されることはない。同期レプリケーションの一般的な手法では同様のものが対向ストレージにスタンバイとして配置される構成となるが、本書で展開されるピュア・ストレージ社のActiveClusterは互いのアレイのボリュームをActive/Activeにし、ともにRead/Write可能な状態を保つ。実現される完全同期レプリケーションはレプリカからの復元を必要としない「ゼロRPO/RTO」を達成しRPOとRTO課題の呪縛から解放する。各障害時の挙動になどついても具体的に示され、ActiveCluster技術を学べる簡潔明瞭な内容となっている。高い可用性を求めつつも現状のシステムに若干の不安や疑問があるのならば、本書をご一読いただき保護レベルの最大化を目指すことをおすすめする。