企業改革が各所で提唱されて久しく、特にデジタルを基軸とした施策があらゆる企業に求められている。先進企業ではRPAやBIツールを始め高度なクラウド活用など積極的な取組は枚挙に暇がない。

 

そのため、DXや改革と聞くと大規模なものを想像する傾向がある。事業規模によっては、構築コストや運用人材の問題から各種の導入に消極的になっている様子も散見される。しかし、企業改革はツール導入やインフラ整備をすれば達せられる類ではなく、生産性の向上と業務や働き方の改善を目的とする。デジタルはあくまで目的を助ける手段であることは言うまでもなく、知見の多寡にかかわらず逆転して取り違える事態は避けるべきであろう。改善には現在の業務を精査し、事業規模を問わず業務全域で課題を明確にする取り組みがなくては、ビジネスは停滞し、改革に進んでも成果は見込まれないだろう。

 

本書では、建築改修分野の資材を主とする商社が取り組んだハイブリッドファイルサーバーの導入事例を紹介する。同社は共有サーバーが老朽化のため明らかな課題を抱えており、リプレースに際し、まずは現状の使い方や些細な業務課題でも社内で徹底して明確化していった。文中で同社代表は「ITに明るい人材が少ない会社」と自社を語るように、自社主導でリプレース先を決定し構築できない事情も抱えている。取引のあるマルチベンダーに具体的な課題を相談し、三つの提案からハイブリッドサーバーの導入を決定した。導入以後、課題は目に見えて改善され、さらに大きな改革への検討も始めている。中小企業にとって一見高いハードルに思われる企業改革が活性される好事例といえるだろう。課題に対する実直な経営姿勢がさえ備われば、不足しがちな最新のITリテラシーは外部の有能なパートナーが十二分に補完してくれる。わずかでもビジネスに停滞を感じる経営層にもご一読をおすすめしたい内容となっている。