デジタルトランスフォーメーション(DX)のコンセプトは、世界各国に拡がっている。日本ではデジタル改革の名の下にデジタル庁(2021年9月1日設置予定)が発足するなど、諸外国と比べ若干出遅れている感もあるが、国策としても取り組んでおり、デジタルは生活やビジネスに良い変化をもたらすトリガーと捉えられている。

 

昨年より世界規模で拡散した新型コロナウイルスの影響からテレワークの必要性に迫られ、販路としてのEコマース、デジタルでの顧客対応・管理はさらなる充実を要した。皮肉にも結果としてデジタルシフトが急激に進み、すべてのビジネスパーソンがデジタルの恩恵をより深く肌で感じる今日にあるといえるだろう。ビジネスに継続性が必須であることからも、より迅速で実行性を伴うデジタル活用が重要だが、先行き不透明なコロナ禍では具体的な指針も方向性も見出しにくいのが現状だ。

 

本書は、ウィズコロナで求められるデジタル活用のあり方について、セールスフォース・ドットコムが日本企業に向けて、いま学び取るべきヒントを提示する。文中ではデジタルビジネスの識者によるコロナ以後の変化やデジタル活用で先行する中国企業の動向などを精緻な分析を展開するとともに、デジタル化の先にあるデジタルが包み込む世界「アフターデジタル」について解説し、ビジネスを展開する上での4つの要点を具体的に掲げている。コロナに起因した消費者変化によって、企業の思考のみならず、企画、製造、販売に至るまで既存構造を見直すべきタイミングに差し掛かってきているといえるだろう。ウィズコロナ時代におけるDX推進の方向性を示す内容となっており、「アフターデジタル」は企業の未来に強く作用する要素であることからも、ビジネスパーソン必読の一冊となっている。