今日、企業活動における情報セキュリティへの責任意識は十二分に深く広まっている。そして外部からのサイバー攻撃の以外にも、従業員による人的情報漏洩など、企業が対峙するセキュリティリスクは常に枚挙にいとまがない状況下にある。

 

昨今の高度に入り組んだITインフラ環境の随所にセキュリティ対策を張り巡らせ、開発したアプリで用いられるOSSのパッチ適応など留意すべき箇所も実に多い。いずれもIT管理者が神経をすり減らすような貢献によって、日常業務が成立している。また新型コロナウイルスの感染拡大によって、実施を余儀なくされた在宅ワークでは、今までは内勤であった従業員も対象となることからエンドポイントの数の増加とBOYDなどの複雑な要素も加わってきている。そのため、かつてないほどにエンドポイントセキュリティを重視する組織も多い。読者諸氏の所属する組織でも実施されていることと思われるが、モバイル端末における取り組みはいかがだろうか? エンドポイントにおける対策の多くはPC端末を主軸に語られる傾向が強く、会社支給で在宅業務でも広く活用されるモバイル端末については対策方法もPCとは異なり、エンドポイントであるにも関わらず、巷に開示される情報も乏しい状況といえる。

 

本書はモバイル端末(iPhone/iPad)の導入におけるMDM(モバイルデバイス管理)について、企業組織から多く寄せられた質問を基とする20項目をQ&A形式で解説し、MDMに馴染みのない読者にも、基礎から具体的な施策にまで多くを学べる内容となっている。端末を正しく従業員に配付し、企業のポリシーに準拠した安全運用に貢献するだけでなく、モバイル端末ならではの「キッティング」についてもMDMソリューション/ツールの活用が言及されているので、IT管理者の作業効率化・負荷軽減効果も期待できる。看過されるがちなポイントを的確に押さえた貴重な情報であることから、IT管理部門のメンバーはもとより経営層にも本書をご一読をおすすめするとともに、ガバナンス強化啓蒙にぜひご活用いただきたい。