電子帳簿保存法の改正を皮切りに、電子契約活用の波が再熱している。これまでテレワーク対応での検討、導入が一気に進んだクラウド型の電子契約サービスだが、それでも新規導入コストの兼ね合いや既存のオペレーションの変更負荷の観点で重い腰が上がらなかった企業も一定数存在していた。しかし今回の法改正により、紙と電子の契約を一元管理をするハードルが大幅に下がり、新たに検討を開始する企業が増加している。

 

改めて電子契約のメリットを考えてみよう。契約書は作成から締結まで社内文書よりも決裁過程が多く、担当者から複数の上司、さらに法務、そして締結する相手の会社でも多くの承認過程がある。紙の契約書であれば、このすべての過程で出社捺印の必要があり、郵送または持参など、手間も時間も感染リスクも減ることはない。電子契約ではこれらの障害は一掃され、さらに企業によっては大幅にコストを圧迫する印紙代も不要になる。弁護士ドットコムが運営する「クラウドサイン」では、現在でも15万社に利用されている。しかし、本改正や、今後も継続的に起こると予想される様々なデジタル化への法改正により、この波は今後更に加速の一途を辿るだろう。

 

本書は、これから電子契約の利用を検討する企業の「紙と印鑑」を刷新する電子契約について解説し、導入についてもガイドする。個人でも企業でも、他に対する承諾・了承の意志表明として国内では印鑑、海外ではサインが用いられてきた。ともに意志表明以外にも改竄防止という、重要な役割を担っているが、実印・銀行印を伴わない契約書や注文書・見積書などで印影を都度確認することは皆無だろう。本書では、電子化できる契約書類の領域の整理や、印紙貼付不要などに起因するコスト削減効果から、クラウドサインを俎上に載せ改竄防止や保存などの機能についても解説する。電子契約を社内導入するための手順を4つのステップに分けて具体的に展開され、さらに法的面の不安などについてもFAQで的確に回答がなされている。日本の法律に特化した弁護士監修のサービスということもあり、収録されている電子化を進めるための社内規程サンプル「印章等管理規程」も一見の価値がある。世情を鑑みれば電子契約の導入には多項にメリットしか見あたらない。本書をぜひご一読いただき新たな商習慣の推進をお勧めする。

※2021年8月時点自社調べ