企業における生産性向上は、常に各所で提唱されている。製品やサービスをより良い方向に進めていくことは企業組織として存在意義でもあり、非効率を排除した作業プロセスの見直し、情報の民主化、属人性を排除など様々な方面で業務への取り組みがなされている。

 

多くの企業が各種ツール導入や組織構造改革などに取り組んでいるものの、生産性における成果を得るのは難しいのが実状ではないだろうか。大枠で取り組むことも需要だが、業務の根源に目を向ければ最小単位は“個人”となるだろう。たとえ自動化であっても確認や判断に人が関わることには変わらない。高いクオリティを担保するためにも、業務内容を問わず人を上手く活かすことが重要といえる。業務に間違いを生じさせないため、むかしから“報告”“連絡”“相談”の重要性が説かれているが、業務1つごとに都度これらを実行するのは現実的ではなく、生産性の観点からも賢明ではない。やはり充実した指導・教育が機能しなくてはならない。

 

指導・教育には“正しく伝えること”“問に正しく応えること”が求められる。指導者の人的リソースには限界があり、業務に応じたマニュアルを作成し対応していることだろう。本書「現場指導の効率化ハンドブック」は、各種の業務現場で課題となる指導について解説する。近年の企業改革の潮流を鑑みるとマニュアルは変更が頻繁となり、詳細に作り込むほどに内容は膨大で指導側からの一方通行となりがちだ。紙ベースのマニュアルが時代にそぐわないのは明白だが、単にWeb化すればいいわけでもない。本書では、「新人」「指導担当者」それぞれの立場で課題を整理し、「自学自習」を含む「“ヒト”に頼った指導からの卒業」を目するマニュアル整備を3社の事例とともに展開する。生産性向上の基盤としてマニュアル整備の重要さを明示しており、業種業界問わず多くの企業人に是非ご一読いただきたい内容となっている。