森羅万象すべては、自と他、内と外といった二つの要素でなり立っている。つまり何事も外部要素との関わりなくして存在しえないことを意味する。ビジネスにおいては顧客あっての企業であり、企業が活動することでマーケットは形成される。

 

株価変動に象徴するように、日常はまったく同じ日々がループしているのではなく、多くの要素が絶えず変化し、相互に影響しあっているので、頻繁に情報をアップデートしトレンドを掴む必要がある。そのため、あらゆるビジネスで消費者の動向は注視されるが、消費者が求める製品やサービスを単に提供すれば高いブランドポジションが未来永劫に約束されるほど単純ではない。現代では製品やサービスの提供の場となるチャネルは多様性を持ち、競合の動き、自社の企業体力なども考慮して、いつ、どこに何を投入すべきかの最適解を導きださなければならない。さらにより上流のブランドポジションを目指すのならば、顧客が思い描く以上の提案が必須だろう。

 

本書、Salesforce「デジタルトレンドレポート」では、世界中の消費者、マーケター、サービスプロフェッショナル、デジタルリーダーなどに調査を実施し、数値結果に基づき多角的にそれぞれのインサイトを詳らかにする。潮流は絶えず変化し、業界ごとに対峙すべき事情も異なり、ともすれば下を向き自らの足元しかみえない空気が企業内にたちこめてしまう。本書はビジネスを形成する消費者と企業の両面の声を捉えており、業種業界問わず視野が広がる内容となっている。萎縮することなく前を向きビジネスを進めるビジネスパーソンにぜひともご一読をおすすめする。