ビジネスは持続的な発展が求められる。単に製品やサービスを新たに創出するばかりでなく、同一の顧客からのリピートや顧客ロイヤルティ向上に留意する必要もある。ときにはアフターサービスやクレーム対応が企業の存在そのものを危うくする可能性もあり、加えて競合他社の猛攻にも勝ち抜かねばならない。

 

俯瞰すれば企業活動とは困難との対峙であるようにも見えてしまう。しかし企業活動の前提には、ビジネスを成立させる顧客がいる。顧客数の多寡がビジネス優位性を左右することはいうまでもなく、それ以上の見込み顧客の確保が重要になってくる。そこで多くの人の目に触れること、つまり広告宣伝が有効な手段となる。読んで字の如く“広く知らしめる”施策が従来から広告の常套手段といえるが、顧客になり得ない層にいくら広く深く訴求してもビジネスには発展しないのは当然といえる。未成年にビールを勧める、男性に女性下着を訴求するように、顧客になる可能性の極々低いものを含めた“見られた数”だけの広告施策に企業は投資を続けて来た。

 

効果を計りかねるフワッとした広告の悪しき慣習は過去のものへと衰退し、現代マーケティングの主戦場となるWeb集客ではリスティング広告が最も効率良く“確かさ”を持っていると言えるだろう。コンバージョン(成果)へのリーチ数だけでなく、インプレッション(表示)、クリックなど施策に対してあらゆる反応が数値で測定される。今日、リスティング広告に出稿する企業も多くなってきた。一方で、構造や概念が理解できないために出稿に二の足を踏む企業や代理店に運用を任せるも善し悪しの判断の判断がつかない企業も散見される。本書では、リスティング広告の仕組みと費用対効果について解説し、「費用対効果」では「認知度アップ」「受注」の二つの観点から指標となる定量数値の設定方法が指南する。加えて、異なる5つの業種での実施事例を費用対効果のポイントを交えて展開し、ムダを除外して成果を得るリスティング広告の本来の姿を的確に知らしめる内容となっている。