テクノロジーの進化は先端からおこり、やがて安価になり広く普及するのが常である。30年以上前は高額な投資が可能な一部の組織だけがPCを使用し、テクノロジーの優位性を享受していたが、やがて1人1台があたりまえになるまでにそれほどの時間は要しなかった。
今日では、研究機関は無論のことあらゆる企業がテクノロジーが組織に与えるプラス効果を認識しているだろう。さらにIT関連のテクノロジーは他の業界に比べ進化は速く、ソフトもハードも活用方法に至るまで未だ停滞なく変化し続けている。企業内で使用されるオフィスチェアなどと比較すれば、長年に渡り使い続けることは難しい。税制上はPCは4年、サーバーは5年と減価償却期間が定められているが、生産性向上が提唱されITインフラ強化がカギを握る昨今においては、制度に合わせて使い続けることは組織活動に停滞を生じさせ現実的ではない。所有から利用へと転換させたクラウドの登場はまさに福音であり、基本的には最新のテクノロジーとパフォーマンスを誰もが享受できる時代となっている。
本書は、人工知能(AI)の活用により需要が急増するGPUにフォーカスし、組織における利用について解説する。かつてはグラフィック処理用途として認識されたGPUだが、並列計算の優位性から研究機関だけでなく企業での各種解析、生産性向上等にも活用されている。しかし最新のハイスペックGPU環境を所有するとなればコストはかさみ、進化速度が際立つGPUだけに早期に陳腐化すリスクもある。利用への選択としてAWSやAzureなどメガクラウドのGPUサービスも存在するが、やはりランニングコストが課題ととなり、レイテンシやセキュリティについても懸念する声もある。本書ではGPUマシンの実状を整理し、GPUクラウドサービス「GPUSOROBAN」を紹介する。従量課金の他に月額固定など明確な料金設定がなされ、国内の自社データセンターでの運用やSSH接続による暗号化やエンジニアサポートなど、日本国内の組織事情に特化したサービスを特徴とする。AIを筆頭に計算処理が今後あらゆる分野で拡大していくだろう。GPUにおいては最新が最良であることは間違いなく、本書をご一読いただき、早期にテクノロジーとパフォーマンスに触れてみることをおすすめする。