家電製品のように技術的要素を含むものごとの多くは“最新が最善”となる性質を持つといえるだろう。かつて“1インチ1万円のコストダウンが目標”とされた液晶テレビが今日それ以上に安価であるように、同性能の製品でも数年経た製品の方がコストバランスに優れる傾向にある。
特に企業や組織で活用されるIT基盤関連は技術進化の速度も速く、領域や規格自体が常に変容し続けている。ハードウェアに至っては定期的なメンテナンスを必要とし、耐久性の観点からも同じ機材の永年使用はできない。最善を求め数年で陳腐化することを覚悟のうえで高額な設備投資を継続できるのは、潤沢な予算を有するごく一部の企業・組織に限定された。しかし近年登場したクラウドは所有から活用へのパラダイムシフトを起こし、周辺サービスや技術の拡充によって低コストでテータを活用できる時代となった。そして多くの企業に業務の効率化、顧客体験など収益に直結する取り組みに門戸を開いている。
一方、発展するAIの分野も、研究機関のみならずあらゆる業界が膨大な計算処理を必要とするフェイズにシフトしてきた。AIディープラーニング、3DCGレンダリング、シミュレーションなどを担うGPUの需要は高まっている。やや鈍化したCPUの技術の進歩と比較して、GPUの進歩はめまぐるしく“最新が最善”の傾向は顕著だ。裏を返せば陳腐化の速度も増していることを意味し、効率を求めれば高スペックのものが数多く欲しくなり、環境を整えるには潤沢な予算と覚悟が必要となだろう。こうしたジレンマを解消すべく、本書では国内発のGPUクラウドサービス「GPUSOROBAN」を紹介する。組織でGPUを実際に所有すると陳腐化問題に加え、維持管理の課題、パフォーマンスを発揮させる精緻な構成なども要す。クラウドで提供される本サービスでは、機械学習フレームワークをプリインストールし、またカスタマイズにも対応する。GPU専用データセンターは国内にあり、二段階認証・通信経路の暗号化を配して機密性の高い開発用途にも応じる。GPUは未だオンプレミスが中心ではあるが、GPU活用もコストのみならずメリットの多いクラウドへとシフトするだろう。是非ともご確認いただきたい。