近年湧き起こった予測不可能な事態は、世界中に多くの混乱を招いている。一方でさまざまな組織が、急速なデジタル化を経験してきた。企業においてはビジネスの継続を図るだけでなく収益性を維持・向上することも求められ、デジタル技術がそれを支えている。
企業デジタル トランス フォーメーション(DX)の潮流から各企業が目指していた “テクノロジー活用” は、収益の維持・向上に根ざした、より迅速で深い完全デジタル化へシフトしなければならなくなってきている。Foundry による 2021 年のデジタルビジネス調査アンケートでは、91% の企業がデジタルファースト戦略の採用(採用予定も含む)していることからも、DX は従来よりも概念は深化している。読者諸氏の所属企業が目指す DX は、今現在どれほどの目標を達成しているだろうか? 社会の変化から顧客もデジタルファーストへの傾向が強くなっており、社内だけでなく市場からの要望に応え続けなければならない。迅速なデジタルイノベーションの実現は、企業の将来を分かつ岐路と言える。
本書「デジタル時代の正念場: API とアプリケーションの 2022 年の動向」は、Google Cloud が世界各国 770 人のITリーダー対象に実施したアンケートに基づき、調査データとともに “現在の状況に対応するために、どのようにデジタル イノベーションを進めているのか” を明らかにする。多くの企業が DX に、クラウド、マイクロサービス、API、アプリケーションなどの各種テクノロジーを投入してきた。しかし本書の調査に依れば目標をすべて達成している企業は 20% にしか過ぎない。変化と混乱によってもたらされたスピード要件を加味しつつ、目標の残りを達成するためには計画の見直しが必須となる。本書では API とアプリケーションの重要性に着目し、果たす役割を探求するとともに、企業の成功事例を交え、テクノロジーの導入状況、投資・コスト、成熟度など多岐に渡る調査と分析を展開する。精緻な戦略と計画が必要に迫られる今日、本書は方向性を示す内容となっており、IT リーダー必読の書として強く推奨する。