ビジネスには発信が欠かせない。古くは“看板を掲げる”“電話帳に載せる”など、知られることから“商い”が始まっている。業種業界を問わず情報発信が行われ、現代の企業組織であれば必ずといってよいほどWebサイトが活用されている。

 

Webサイトの目的は様々だが、“オールドスタイル”の発信と大きく異なり、設置・掲載などの一時期の作業で完成・完結するわけではない。直接の収益を生むECサイトだけでなく、直接的な収益を生みださないコーポレートサイトなどにもWebサイトの構築に至った経緯にはなんらかの目論見があり、目的にリーチする運用には継続が欠かせない。Webの特性を活かし、コンバージョン数とアクセスログをこまめにチェックするなどは至極当たり前であるが、結果には満足されているだろうか? PDCAを回すことは運用の定石とされるが、ログからの仮説抽出まではなされていても具体的な改善施策への“Action”に踏み出せないケースも散見される。

 

本書「マーケティング施策実例集」は、Webサイトにおける顧客のファン化戦略を念頭に“Web接客”についての施策事例を紹介する。前述の通り仮説も重要だが、あくまで想像の域を出ず“ユーザーの好み”にまでは到達しにくい。仮説のみに基づく改変は試行錯誤がともない、場合によっては今まで保ってきたユーザーの支持や成果すらも失いかねない。また数多く施策を試すことで掛かる工数やコストも無視できないだろう。Webサイトに成果を欲するものの、高いリスクは取りたくないのが本音ではないだろうか? 本書で展開する施策では、業種の異なる2社の実例を数値結果とともに掲げ、Web接客ツールによるリターゲティングやA/Bテストなど“根拠”に基づくWebサイトの最適化を実現している。現状に留まるを良しとせず、Webサイトに成果を求めるもリスクは避けたい、そんなビジネスパーソンにこそ本書のご一読を強くおすすめする。