あらゆるビジネスにおいて、効率と生産性の追求は永遠のテーマといえる。効率と生産性の向上を実現する明確な指針として、テクノロジーの進化と相まってデジタルトランスフォーメーションが強く支持されるのも至極当然の流れといえ、企業のみならず重要・公共インフラにおいても進行している。

 

デジタル技術によって産業が発展し生活が向上してきてはいるが、“推進”が掲げられる通り、今現在はまさに過渡期といえるだろう。変化も著しく、クラウドの活用を筆頭とする新たなテクノロジーを吸収・実施するなかでも、常に重視すべきが“安全性”であることは揺るがない。そもそも安全性を軽視する事業者にビジネスを展開する資格すらないが、過渡期であるが故に綻びも生じやすく、なにより攻撃者は常に新しい攻撃手法を考案して事業者の想像の域を越えようとする。

 

エンドポイントセキュリティにおいても攻撃者の目的は末端ではなく、より深部のビジネスの根幹にある。いかなるシステムであっても一般ユーザーが持っていない特別な権限を与えられた特権ユーザーは存在し、攻撃者の真の標的は“特権アカウント”にあるのではないだろうか。本書では、デジタルトランスフォーメーションにおける特権アクセスの保護の直面する課題を整理すると共に、未来を見据えた特権アクセス管理(PAM)の重要性について解説する。クラウドの活用においては社内のみならず外部への影響についても考慮する必要があり、現状を適確に捉え、未来を見据えたプロアクティブな対策を示す重要な内容となっており、IT分野ばかりでなく特に製造業の関係者に強く本書のご一読をおすすめする。