「クラウドコンピューティング」は用語としては2006年のGoogleの発言に端を発し、創世期~普及を迎えたとされるが、広域な技術発展を経て、今日では多くの企業において可用性を促進している。急速な普及の背景には、“最小の管理労力”と“迅速な提供”のメリットに起因するのはまぎれもない事実であるが、災害やサイバー攻撃などによる“脅威”への対抗措置「BCP」(事業継続計画)への市場需要にクラウドが有用性を発揮することも見逃せない大きなポイントといえる。

 市場からの需要拡大によって、ますます成熟が進むクラウドではあるが、企業へのクラウドの実導入にあたっては、利用規模、活用範囲、既存のシステムとの連携、初期費用、運用コストなど、他項におよぶすり合わせ・検討を要し、本来のメリットである“最小の管理労力”“迅速な提供”が大いに損なわれてはいないだろうか。あるべきクラウドの合理性を求めるのであれば“アウトソース”の範囲を広げ、調達から運用管理にとどまらず、必要に応じて他のリソースやサービスを組み合わせるなど、企業が必要とするサービスまでも統括して迅速に最適化する「マネージドクラウド」の活用が求められる。

 本書では、ミズノ株式会社を筆頭に多くの導入実績を誇るアイテック阪急阪神株式会社が提供する「i-TECマネージドクラウド」を紹介する。同サービスは「フルマネージドクラウド」「フルマネージド専用サーバ」「フルマネージド共用サーバ」「パブリッククラウド・オンプレミスマネージド」「クラウドメール」「データセンター」の主な6つのサービスで構成される。加えて24時間365日常時監視と改ざん発生後1秒未満(参考値)の自動復旧能力を有する製品である「WebARGUS」や、その他のオプションサービスも用意される。

 市場において「マネージドクラウド」は漠然としたサービス内容が列挙する事業者が散見されるが、同社は“パッケージ的”に具体的なサービス内容を紹介するとともに、具体的な費用・価格も明示している。クラウド活用を模索し、規模、活用範囲、コストに苦慮している企業にとって指針として非常に参考になり、既に「マネージドクラウド」のサービスを導入している企業においても既存のサービスの「棚卸し」などに活用できる内容となっている。