ここ数年、日常生活でのIT活用の拡大は著しく、意識せずとも日々何らかのITの恩恵を多くの人々がワールドワイドで享受している。利用の拡大は、セキュリティ、カスタマーサービス、ユーザビリティー、などなどの拡充・拡大が提供側(企業)に要求される。そのなかで、エラーやサービス停止が許されず、さらに最高レベルの快適性が求められる分野が金融サービスと言えるのではないだろうか?

 本書では、世界28カ国に支店を持つ金融プロバイダーであるマッコーリー銀行におけるデジタルバンキングの事例を紹介する。同行のバンキング・アンド・ファイナンシャル・サービス・グループは、資産管理の製品やサービスなどを含むパーソナル・バンキングおよびビジネスバンキング・ソリューションを、個人、アドバイザー、ブローカー、法人に向け幅広く提供している。早期よりITを活用したカスタマーサービスを展開していているが、サービスの拡充と改善を繰り返した結果、IT作業の複雑化、管理の煩雑さを抱えてしまった。“信頼と安定”は必須として、より高度なユーザーサービスの向上を目指す企業にとって大きな問題となる。同行は問題解決の活路をパブリッククラウドに求め、実装にRed Hat OpenShift Container Platformを選定し、複数のRed Hatテクノロジーを導入し改革を実行した。

 特に興味深いのは、同行がRed Hatのコンサルティングを活用することで、アジャイル開発へと向けた企業文化の転換もサポート行っている点にある。ビジネス価値や感応度を高めるための「社風」「自動化」「プラットフォームの設計」に対するアプローチにまでに関与し、企業内でのDevOps文化を後押ししている。加えて、Red Hatトレーニングサービスをも実施することで、ナレッジの蓄積にも余念がない。単なるソリューションの導入事例にとどまらず、ITを主軸にした企業改革の好例としても参考になる内容といえる。