企業の業務効率化と改善に終わりはない。生産性と業績に大きく影響するだけでなく、内向きの社員の意欲向上・働き方にまつわる企業姿勢、外向きにはサスティナビリティ、ブランディングにいたるまで大きく影響する。通念的に明確なゴールも存在せず、流動性を持つ時代背景や社会情勢に合わせた「取り組み」を絶えず内外に顕示する必要がある。

現在ではITが担う領域が増大し、総務やシステム部門にとどまらず、企業の未来を左右する経営判断を要する領域にまで広がっている。その領域で今最も注目されているのがRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)だ。「定型業務の自動化」を標榜し、「ホワイトカラーの業務形態を刷新する」とまで称されているが、世界動向と比較すると国内企業での普及速度はいささか鈍い印象である。

本書は、国内企業に対して行ったRPA導入実態調査をレポートする。特に導入の進んでいる従業員数1000名以上の企業を対象にアンケートを実施(実施期間:2019年3月2日~2019年4月19日)、約800件の回答に基づき集計を行った。国内企業のRPA導入への取り組み状況だけでなく、導入後の活用課題などもデータにより明示されている。RPAの国内市場動向を知り得るだけでなく、導入判断の指針ともなる貴重な資料といえる。RPA導入済み企業だけでなく、RPA未導入企業においても、今後の企業経営と「取り組み」に大いに影響を与える項目だけに、ご一読を強くお勧めしたい。