企業のクラウド活用が進む一方で、企業内にはパブリッククラウドに出しにくいアプリケーションや、オンプレミス環境のほうがコスト的に有利なシステムも存在する。そうした状況を踏まえ、企業が“ハイブリッドクラウド戦略”を採用するのであれば、同時に検討したいのがオンプレミス環境のモダナイズだ。
「パブリックに全面移行できないからオンプレミスを残す」のではなく、「パブリックとオンプレミスを適材適所で使い分ける」のであれば、オンプレミス環境の「隅々まで細かに管理できる」という長所を強化し、「運用に手間とコストがかかる」という弱点を改善して、“戦闘力”を高めるべきであろう。インフラ部分では、各種センサーによって稼働状況のモニタリングレベルを引き上げる、電力コスト削減のため電源を見直す、ケーブリングをシンプルにして保守を容易にするなどが検討項目となるだろう。
本書は、最先端のAI研究開発で活用される「三相電源対応インテリジェントラックPDU(Power Distribution Unit)」についてレポートする。AI開発研究のトップランナーであるPreferred Networks社では、未踏領域の基礎研究を推進するにあたり、プライベート・スーパーコンピューターを自社開発運用している。開発では、電力の管理の難しさにも直面し、インテリジェントラックPDUに活路を見いだした。サーバー運営やスーパーコンピューター運営社の選定の参考になるだけでなく、クラウドを活用を進める上でも、ハードウェアの重要性・実態をいま一度確認できる有益な内容となっている。