昨今のクラウドの潮流は、ビジネスにおける「データ活用文化」を強力に推し進めてきた。その一方でデータセンターのプライオリティが下がってきているのでは? と感じる読者諸氏もいることだろう。

しかし、震災などの経験からBCP対策の概念も浸透し、ディザスタリカバリーの需要とともにデータセンターの活用を見直す声も高まってきている。2000年前後におこった第一次データセンターブームと比較して、コンテンツのリッチ化や各種エンドユーザー向けサービスの「クラウド化」の台頭、ビッグデータやAI活用など、今日のデータセンターの担う用途とトラフィックともにに大きく様変わりしてきている。そのためデータセンター施設の拡大と多方面への高度化が進み、データセンター建築ブームの現在に至る。クラウドとデータセンターは両翼のごとく常に進化を続けているともいえる。

本書は、インプレス総合研究所による「データセンター調査報告書2019」より一部を抜粋し、クラウドに関する利用者と事業者の実績調査を公開する。特にIaaS型パブリッククラウドにおける利用企業売上規模の傾向は、「クラウド=安価・手軽・小規模」のイメージとは大きく異なり、データセンターの併用も多い。また、事業者における「大手クラウドとの専用接続」では、市場要求に対する業界動向が見えてくる結果となっている。実勢調査に基づく内容のため、今後のITインフラ戦略を進める上でぜひともご活用いただきたい。