ほとんどの企業で月末月初は、何らかの処理業務が多量にのしかかる。例えば、社外との折衝や具体的な営業活動を担うフロント部門では、請求書、立て替えの精算、入金確認、諸経費の支払いなどに追われるケースが少なくない。しかし、フロント部門からの帳票処理が遅延すれば、バックオフィス部門の業務を圧迫する。小さな遅延の積み重なりは超過労働時間を誘発させる原因となり、さらに、月次決算の遅れは、迅速な経営判断を阻害してしまう。
昨今の企業経営に向けられる世相は厳しく、社員に対する「労働時間と環境」や「会計と納税の透明性」などにも企業姿勢の“善と悪”が問われ、利益を上げて躍進するだけでは尊敬と社会的地位を得ることはむずかしい。種々の課題を乗り越え、潮流を読み、生産性と競争力を高める迅速な経営判断を下し続けるのは容易ではない。企業活動を多方面で改善するにあたり“特効薬”の施策は存在しえないが、課題を洗い出して対策を講じていくことは可能だ。
本書は、企業の月次決算に関する課題、要因、改善策をレポートし、社内の意識改革・仕組み作りと併用し、自動化とデータ連携を重視するシステムの導入を推奨する。経営資源である「ヒト・カネ」の両面を改善することで、企業競争力を高めるだけでなく、自社の労働環境をも向上する第一歩を踏み出してみてはいかがだろうか。