今日の世界規模で起きている事象は、激甚を通り越してもはや予測不能といえるレベルといえる。ヒト・モノの行き来すらままならず、出口すら見えない前代未聞の状況下にある。

企業は従業員の生活を守るためにも、安全を担保しつつ活動を継続させる最大の努力を払う責務を担う。多くの企業が頭を悩ませ、種々の施策を実行するなか、「テレワーク」の注目度は高まっている。製造業現場や対面を前提としたビジネス領域では難しいが、可能な限りの広範囲で業務をテレワークに吸収させる動きが進行中だ。しかし巷を見渡せばテレワークに「踏み切らない」「踏み切れない」企業もまだまだ多い。前者は経営判断によるところもあるが、後者は体制やテクニカルな理由に起因すると思われ、日頃からの投資や想定によって“実施”“不実施”の明暗が分かれているのではないだろうか? 一方“実施”を選択した企業に所属している従業員であっても、特定の業務フローでは通常出社を要する「部分テレワーク」になっているケースも散見される。特定の業務フローの多くには「紙ベースの書類処理」が付随してるがゆえに出社を余儀なくさせている。

本書は、オフィス分散化を推進する企業においてボトルネックとなる紙書類に対して、ペーパレス化にシフトさせた具体施策をレポートする。紙書類の中でも重要度の高い契約書の業務フローでは、文面・内容の確認はもとより法令遵守や先方との取り交わしなど、社内だけでは完結しない要素も多々含まれている。同社は多くの社内外の調整をへてアナログ→デジタルへと進化した業務フローを確立するが、特に採用された「電子署名」の存在なくしては到達できなかったであろう。「電子署名」の活用によって得られたメリットは「印紙」の貼付不要(適法)のコスト削減に始まり、ペーパレス化以外の範囲にもおよぶ。デジタルトランスフォーメーションなどに端を発する「企業のデジタル化」の潮流は確実に拡大しており、早期にペーパレス化に取り組むことをお勧めするとともに、さまざまな手法・選択肢を増やすことは“予測不能の事態”においても必ず効力を発揮するだろう。企業力を衰退させないためにも、すべてのビジネスパーソンにとって必読の内容になっている。