業務のデジタル化の推進は、ビジネスにおいて“火急の命題”であるといえる。いたるところでさまざまな呼称で提唱されているが、単なる「アナログ→デジタル」の転換を目指すことは一世代前のゴールであり、現代ビジネスにおける競争力は確立されないだろう。

業務のデジタル化の大意は「デジタル技術の活用」であり、活用の延長線上に価値創造や企業成長などを見据えてこそ意味が生まれる。そのため業種・業界を問わずトップランナー企業は最新テクノロジーのキャッチアップに余念がなく、導入へのアクションも速やかだ。そして近年のエンタープライズITにおける最大トピックスは「クラウド」であろう。「クラウドをいかに取り入れていくか」に終始していた局面もあるが、実務的な要因からのハイブリッドクラウドなどに課題も多く、複雑化した運用に今も苦慮している組織は少なくないのではないだろうか? クラウドに限らず管理・運用の複雑化は、デジタル活用にブレーキとなるだけでなく、BCP、スケーラビリティなどの観点でも課題が残る。しかし垂直型インフラシステムに課題性を見出した企業では、早期にハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)に着目してきた。

本書は、企業に対して実施したHCIに関する291件のアンケートに基づくトレンドおよびユースケースをレポートする。全編にわたり数値化・グラフ化し、非常にわかりやすくレポートされており、とくに3年前に同様に実施された調査結果との対比では、非常に興味深い変化が確認できる。HCI未導入の企業においてはデジタル活用化の推進に大いに役立ち、導入企業においてもトレンドをつかめる有益な内容となっている。