現在、好むと好まざるとに関わらず変化を要するタイミングに差し掛かっている。範囲は業種業界を問わず、国を問わず、日常生活スタイルまでおよぶ。それ以前であっても経済性・生産性の追求を目的とする企業は、社会に対して、人に対して、ことあるごとに多種多様に何らかの改革が叫ばれてきた。

近年であればデジタルトランスフォーメーション(DX)が、企業活動を躍進させる改革手法として注目されている。DX推進の号令の下に舵を切る企業も多いが、DXの潮流が強まるごとに予算・人材・協力会社など、DXのカナメとなるITリソースの不足・不満を漏らす現場の担当者の声が多く届くようになってくる。また、DX推進ミッションを任せられた現場では、既存システムの運用・保守に忙殺されDXがさらなる足かせとなり、ルーティンワークとDX推進へのプレッシャーでメンバーが疲弊してゆくケースも多く見聞きする。DXが提唱された当初は「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」であって、高生産性を企業にもたらすはずのミッションが遅々として進まない上に、人が良い方向になっていかないのであれば、そのDXはすでに破綻していると言っても過言ではない。破綻の要因は企業内随所に点在する非効率の積み重ねといえ、スピードと効率、この2点に大きな課題が見えてくる。

本書は、DX推進における理想と現実を指摘するとともに、セールスフォース・ドットコムによる課題解決に向けた提言と成功事例を収録する。企業におけるITリソース不足は常に言われていることではあるが、テクノロジー→特殊→属人(協力会社)の思考に囚われており、テクノロジーを真に理解するのであれば自動化・効率化に進むべきであると指摘する。システム改善におけるスピードの課題も含め「システム改善のDIY」を本書は提言し、実現には“ローコード開発”がカギとなる。働き方改革が叫ばれ、変化が必要とされる今こそイノベーションの日常化が必須なのではないだろろうか? 革命は1日してならず、日々の改革が真のDXの実現につながるのである。