デジタルトランスフォーメーション（DX）の大号令が世界的な規模で響き渡り、ビジネス領域に留まらず、生活や国家経済戦略レベルにまで広がっている。企業にとってDXを実現する要素技術は数あれど、クラウドやRPA（ロボティック・プロセス・オートメーション）への言及は引きも切らず、実効解として今なお熱い視線が集まっている。

開発スピードや進化が緩むことのないIT領域では、RPAも例外ではない。人工知能（AI）筆頭とする先端テクノロジーをRPAに融合させ、エンドツーエンドの自動化を実現する「インテリジェントオートメーション」へと進化・熟成してきており、効率化、運用コスト削減、顧客体験の向上などに磨きがかかっている。一方では、顧客関係管理（CRM）や人的資本管理（HCM）といった領域のメインストリームが辿った道と同様に、クラウドを使用したWeb対応の提供モデルへのシフトが加速している。

本書は、クラウド型インテリジェントオートメーションの揺籃期において、提供モデルの幾つかのアーキテクチャや、それぞれでユーザーが頭に入れておくべきことなどを分かりやすく整理・解説している。ここ最近で耳目にする機会が増えた「RPaaS（RPA as a Service）」についても丁寧に触れており興味深い。働き方や生産性の改革、業務プロセスの最適化、従業員満足度の向上などに課題意識を持っているビジネスリーダーにお勧めの内容だ。