新型コロナウイルスのパンデミック発生から、世界中のあらゆる営みは変化し、以前の知見が通用しないほどに予測がつきにくくなっている。多くの事柄が影響を受けるなか、ビジネスは変化を受け入れつつも状況を読みとり、ニーズにより精緻に応える取り組みが必要になってきている。

 

また近年の顧客の嗜好は「デジタルファースト」に大きく傾いていることから、業種業界問わず企業はデジタル変革の推進なくして競争力と存在価値の向上は成立しなくなってきている。デジタルはビジネスの重要項目であることは明白だが、この二つの要因によって企業のデジタル改革は今まで以上に敏捷性(アジリティ)と俊敏性(クイックネス)を備えなくてはならない。デジタル変革の推進において、企業組織の内と外をデータにより把握し、最適化するマーケターの役割は大きく、成長と成功に深く関与している。厳しい情勢下でも世界のビジネスは止まっておらず、続伸する企業も存在する。活躍するマーケターの行動と心理に、難局に活路を拓くヒントが潜伏しているのではないだろうか?

 

本書は、Salesforceによるマーケターを対象にしたアンケート調査をレポートする。同調査は、2020年9月~10月期間に世界7カ国(米国、オーストラリア、英国、フランス、ドイツ、日本、シンガポール)で活躍する意志決定権を有するマーケター1,050人強(各国150人)を対象に実施されたデータに基づく。各マーケターが直面する状況、課題、評価、展望を数値化し、分析することで5つの傾向を明らかにする。また本書の後半部分では、地域で大きく異なる新型コロナウイルスの深刻度・影響度を踏まえ、国別の統計データを掲載し、さらに業界別の統計データをも展開している。判断の難しい局面にはより多くの情報が役立つが、読者諸氏の企業が今現在置かれている状況は業界・企業文化も絡みつく、かなり複雑なものではないだろうか? 確かにより深刻な海外の情報や総花的傾向に学ぶ点も多いが、危機が迫る自社のビジネス対して戦略を見出すにはいささか不安がある。不確実な社会的・経済的状況を乗り切るためには、自身を軸としたマクロとミクロの両観点の判断をもって施策に挑みたいものだ。その意味でも、本書は貴重な情報を提供する秀逸な内容となっている。すべてのビジネスパーソンにご一読を強くおすすめする。