近年、企業改革という文言が随所に見られるようになってきた。商習慣や働き方といった国内企業のありかたについて、競争力の観点からも変化の時期が訪れている証左といえる。

 

企業改革の実行の柱としてデジタル活用と効率化が掲げられる。読者諸氏もご承知の通り、デジタルはあらゆるビジネスに推進力を与え競争力を育む。しかし世論の後押しがあるにも関わらず一斉に企業のデジタル化が発展することはなく、事業規模や企業事情で取り組みはまちまちであった。昨年からのコロナ禍によって、テレワークは社会的責任から多くの企業で実施され、皮肉にも国内企業のデジタル活用と効率化は大きく前進しつつある。この潮流を途切れさせずに進めることこそ企業成長を決するのではないだろうか。

 

本書は、企業改革の一端として注目されるクラウド契約について、法律の観点で解説する。契約はすべての企業にとって重要な業務であり、当然、内容に不備や効力を発揮しない取り扱いがあってはならず、細心の注意を払うべき事柄だ。紙ベースで取り交わされることを長年の商習慣としてきたために、テレワークの実施企業であっても契約書類への押印のためだけに出社するようなケースも散見されが、改革の潮流からクラウド契約が注目されている。印紙税がかからないのでコストメリットがあり、何より効率化が図られるが、採用に未だ消極的な企業も現実には多い。恐らく法務の観点からクラウド契約の運用に不安を感じてのことと推察される。本書では弁護士監修のクラウド契約サービス「クラウドサイン」について、クラウド契約の適法性、証拠力、税務対応の3方向から法律知識を整理し的確にガイドする。本書に掲載されるとおり「産業競争力強化法が定めるグレーゾーン解消制度」など、 クラウド契約サービス導入にあたりチェックすべき制度が存在する。どの企業にとっても重要な契約書を扱うサービスだからこそ、本書をご一読のうえクラウド契約への造詣を深めていただき、コンプライアンスとイノベーションを両立させた企業改革の推進を推奨する。