あらゆる業務には、紙書類が関わってくる。いまだビジネスで残る紙書類の多くは“正式”もしく“公式”な物としての役割を担っている。現代の企業組織は法令遵守はもとより、社会性や透明性までも強く求められる時代となっている。雇用契約だけでなく社内の各種申請であっても適切に記録を残す必要があり、社外に向けた書類についてはさらに厳密に会社法で保存期間までも定められている。

 

正式かつ公式であるがゆえに間違いは許されず、関わる作業に時間も労力も必要とする。競合との差別化、業務効率・生産性向上を志向する昨今の企業経営の潮流から電子帳簿保存法などの法整備も進み、電子契約・電子署名にシフトする企業も増えたきた。FAXから電子メールに入れ代わったのと同等のデジタルシフトと気軽に捉える組織も散見されるが、紙とハンコが不要になるだけでは不十分だとあえて断じよう。なぜなら綿々と続いた紙文化の根拠は物理的な要素ではなく、正式書類となるまでに経たプロセスが信用の裏付けとなり効力発揮するからである。電子契約・電子署名においてもプロセスが確立されなければならないのは当然と言える。

 

本書「電子署名ソリューションの選び方」は、電子署名・電子契約のプロバイダーを選ぶ際に考慮すべき5つのポイントについて解説する。手軽さと効率化の側面のみが先行する現状を本書では実例を掲げつつ丹念に分析し、電子契約・電子署名のメリットを簡潔に6つに分類する。当然「セキュリティの向上と法令遵守」も含まれるが、企業競争力にも大きく関与する電子署名・電子契約の在るべき活用にも言及する。実現にあたり、電子署名・電子契約ソリューションの存在は大きく、正しく使い続ける体制も必要だ。本書ではプロバイダーをビジネスパートナーとして捉え、採用時の評価ポイントを明確に提示する。一部に偏ることなく広い業界で活用できる内容となっており本書をご一読の上、ぜひとも自社に相応しいデジタルシフトを実現していただきたい。